裁判所を介さず交渉で借金を減らしたい
- かなり昔から払い続けているけど、残債務がなかなか減らない。
- いくら払っても大部分が利息に入ってしまっていつになったら返し終わるかわからない。
- 月々の支払額が多すぎて家計が赤字になる。
こういった悩みをお持ちの方は、一度ご相談ください。そのような場合に、裁判所を介さずに交渉で月々の支払いを減らし、将来利息(和解後の利息)もなくす手続きがあります。それが、任意整理です。月々の返済を減らすことで家計を改善し、同時に将来利息をなくすことで結果として返済総額を減らすこともできます。
債務整理の中ではもっとも一般的な手続きであり、裁判所を通す法的整理(民事再生、自己破産)との対比で、任意整理と呼ばれます。
任意整理手続きの概要
任意整理は、簡単に言えば、以下のような手続きです。
- 弁護士が入って取り立てをストップ
- 弁護士がカード会社など債権者と交渉して月々の返済額を決める
- 和解後の利息をなくす(利息ゼロで分割弁済)
- 過払い金があれば返還請求
以上のように、任意整理とは、弁護士が代理人として金融業者との間で交渉して、原則元本だけの分割払いを認めてもらうことです。すなわち、ご依頼を受けると、弁護士は、まず取引履歴を取り寄せて、グレーゾーン金利の場合には利息制限法にしたがって引きなおし計算をしたうえで、残高を確定し、以後、利息を付けずに、分割で返すことを業者の間で交渉して取り決めるという流れになります。なお、銀行の借入や、カード会社等の比較的最近の借入、及び、ショッピング取引の場合は、当初から適法利率のはずなので、引き直し計算は不要で、原則として取引履歴に記載の額を基に債権額を確定します。
返済回数については、5年まで、という業者が多いですが、業者によっては、状況によるものの、場合によってはもう少し長くすることもできます。
これによって、和解後の利息がなくなるため、借金の返済に充てるべき総額は実質的に減ることになります。また、以前にグレーゾーン金利で取引をしていた場合には、元本も減ります(もとから適法利率の場合には、元本は減りません)。同時に、ほとんどの場合、月々の返済額は任意整理以前より減るので、生活の再建を図ることができます。
この手続きは原則として裁判所を通さない手続きであり、どのような合意内容にするかは債権者と弁護士との間の交渉で決めることになります。もちろん、弁護士は交渉する前に、ご依頼者様の意向を聞いて、分割回数などの提案内容を決めることになります。裁判のような法的なものではなく自由意思(任意)による話し合いなので、「任意整理」と呼ばれています。任意での交渉なので、法的には、どういう内容にするかという制約は、それほどありませんが、業者との合意が必要なので、月々の返済をどこまで減らせるかという点については、ある程度限界があります。すなわち、最大5年程度という条件を付けて来る業者も多いです。ただ、業者によっては、交渉によりもう少し長期で和解できる場合もあります。逆に、短めでの返済は、債権者からは歓迎されるので、スムーズに交渉が進むことが多いです。
いずれにせよ、ほとんどのケースでは、和解後の利息をゼロにするという条件で合意をすることができます。つまり、返済した分がすべて元金に入っていくので、返済することで確実に残高が減っていきます。こうして、生活を再建することができるのが、この手続きの魅力です。
本人が業者とやり取りする必要がなくなります。
取引履歴の取り寄せ、交渉、和解書の作成及び署名・押印、まですべて弁護士が行ない、ご依頼者様は債権者と一切やり取りをしなくて良いのです。また、弁護士が介入するとカード会社等の債権者は債務者本人への連絡を禁止されますから、本人や家族、職場などに連絡が行くことはありません。しばらくの間支払いを止めて、その間に弁護士費用を分割で支払って頂き、その後から債権者に和解に基づく支払いを行うというのが基本的な流れになります。
任意整理のメリットとデメリット
任意整理のメリット
- 引き直し計算で過払い金が見つかることがある
- 将来利息(和解後の利息)をゼロにできる
- 月々の支払い金額を交渉で決めることができる
- 原則として住宅ローンには影響しない(ただし同じ債権者の場合は要注意)
- 車のローンに介入しなければ車は残せる
- 知り合いなど一部債権者を外すことも可能
任意整理のデメリット
- 信用情報に記載される
- 当初から利息制限法内での取引の場合は、元本は減らない
任意整理と過払い回収
任意整理では、まず、取引履歴を取り寄せて、利息制限法に基づく引き直し計算を行います。すなわち、一連の取引の最初に遡って適法利率での再計算を行うのです。その結果、元本が減少したり、過払い金が発生して、返還請求をできる場合があります。
それゆえ、利息制限法に反する高い利息で借り入れていた方にとっては特にメリットが大きい手続きだといえます。現在も高い利率の場合はもちろん、現在は適法利息に変更されている場合も一連の取引の最初に遡って引き直し計算をし、その結果に従って減額や返還請求ができるため、以前には高い利率で借り入れをしていたという場合には、ぜひご相談ください。
計算の結果、過払い(払い過ぎの利子を元金に充当して計算した結果、残債務がすべて消えて、なお余剰が出る場合)になっていることが判明すれば、過払い回収に移行します。実際、任意整理のために法律事務所を訪れた方が、取引履歴の開示を受けて引きなおし計算をした結果、過払いになっていて、逆に取り戻せたという事例は多くあります。
任意整理では難しい場合
任意整理は、計算の結果過払いになっていた場合を除くと、分割で返していく手続きですから、債務の状況や支払い能力によっては、任意整理での解決が難しい場合もあります。大まかな話をすると、「元本だけ。5年払い」という条件でも返済できない家計の状況の場合は、家計を改善しない限り任意整理での対応が難しい可能性が高くなります。なぜなら、多くの債権者は長くても5年分割での返済を求めるからです。そうすると、上記条件での返済が難しい場合は、一般的にいえば、民事再生か自己破産を選択せざるを得ない可能性が高くなります。
もちろん、これは一般論であり、返済期間をそれより長くすることは、取引の状況や業者によっては応じてくれることもあります。この点、5年を超えるような長期の分割となると、交渉が難航する場合が多いです。しかし、当事務所では、ご依頼者様の家計の上記が厳しい場合は、できるだけ、長期の弁済での任意整理も成功させるように尽力します。業者によっては、残債務額や家計の状況により、7年~8年程度の長期分割に応じてくれる場合があります。それゆえ、上記の、5年、というのは目安であり、もう少し長期での和解ができる場合もあります。
ただし、借入から債務整理開始に至るまでの期間が短い場合には債権者により3年程度までしか認めてくれない場合もあります。また、少数ですが、より短い期間しか認めないという業者もありますので、どの業者からいくら借りているか、取引期間はどれくらいか、などの状況によっても、分割回数の上限は変わってくるといえます。
いずれにせよ、任意整理で予想される月々の支払額を家計から捻出することが明らかに難しい場合は、ご依頼の時点で、民事再生か自己破産を選択いただく必要があります(いずれが可能か、望ましいか、は案件によります)。また、家計的に見てぎりぎりの場合には、任意整理でご依頼頂き弁護士が交渉してみたけれども債権者の対応が厳しく民事再生等に変更せざるを得ないという場合もあります。このように、一定の返済能力が求められるのも、任意整理の特徴といえます。
当事務所の経験と実績
当事務所では、多くの任意整理案件を扱ってきました。債務整理案件全体(民事再生、自己破産、時効援用、過払い金返還請求などを含む)では、5,000件以上の受任をしており(個人事務所時代からの通算)、その中には多くの任意整理案件が含まれています。これまで受任してきた案件の中には、一般的な3年~5年程度での和解を求めるケースもあれば、家計が厳しくより長期での和解が必要なケースもあり、交渉には慣れています。
また、過払い金が見つかって業者に返還請求を行い取り戻すことに成功したケースも珍しくありません。過払い金返還請求の交渉や訴訟も多く扱ってきました。
債務整理の無料相談
債務整理については、相談だけなら無料ですので、まずはご相談ください。お電話か電子メールでご予約の上、立川または所沢の事務所までご来訪をお願いします。
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