家族に秘密で任意整理ができるか?
家族に秘密で任意整理をしたい理由
借金があること自体を家族に秘密にしている方もおられると思います。あるいは、少しは借りているけど、それほどの額ではないと説明していたり、数社のカード会社を利用しているけれども一部しか家族の方には伝えていない、などで、債務の生活な状況を家族の方に伝えておらず、また、これからも知られたくないという方も多いと思います。このように、様々な理由で任意整理を家族に秘密で行いたいという方は、よくおられます。
では、そのような場合に、家族に秘密で任意整理はできるでしょうか?
任意整理とは?
ここで、任意整理とは、弁護士がご依頼者様の代理人として債権者(カード会社など)を交渉して、返済の条件を変更してもらうことを言います。すなわち、弁護士が債権者と交渉して、将来の利息をゼロにしてもらい、月々の返済額も合意で決める手続きを言います。例えば、300万円をカード会社から借りているときに、今後の利子はゼロにして、5万円を60回分割で返す合意をする、というようなことです(これは一例であり、何回払いになるかは交渉で決めます)。
この手続きは、債務整理の一つであり、債務整理には他に民事再生と自己破産があります。
ただ、任意整理のことを債務整理と呼んでいる方もおられるようです。
任意整理の特徴
任意整理は、基本的に裁判所を通さないこと、整理対象とする債権者を選択できること、通常は住宅ローンは含めないので住宅は残せること、車のローンも含めないことができること、などがあげられます。
もちろん、生活再建のための手続きなので、どの債権者を対象とするかは借り入れの状況や家計の状況も考えて決めないといけないですが、破産や再生のようにすべての債権者を対象にしないといけないというわけではありません。
また、あくまで、債権者との交渉であり、不動産を抵当にしている等、担保を付けている場合は別として、通常のカードローンなど無担保の借入であれば、資産については基本的に触れない手続きです。
任意整理を家族に秘密でできるか
上記のような任意整理の特徴を踏まえて、任意整理は家族に内緒でできるのでしょうか?
まず、破産のように持ち家を失うわけではなく、また、裁判所に家族の給与明細の提出を求められるということもありません。任意整理で裁判所がかかわるのは、債権者が訴訟をしてきた場合だけですが、その場合も、あくまで債権者と代理人弁護士が和解交渉を行うので、裁判所に破産の時のような資料を提出するわけではないです。また、官報にも掲載されません。
そうすると、家族に内緒で行うこともできそうです。実際に家族に内緒で行うことを希望されている方も多いです。
郵便のやり取りでわかってしまう、ショッピングで買っていたものについて引き上げを求められて分かってしまう、というリスクがないわけではないですが、後述する通り前者には対策を立てることもできます。
ただ、ご家族に秘密でできるかどうかは、に関して、一番重要なのは、ご自身の力だけで生活再建ができるかどうか、ということです。ご家族にも節約を求めたり、奥様が家計を管理されているが家計を全体として見直さないと返済原資を捻出できない、という場合には、ご家族にお話しいただかないと、実際にはうまくいかないことが予想されます。
したがって、家族に秘密で任意整理をできるかどうか、は個々のケースによります。
家族に内緒で任意整理をしたい方への当事務所の配慮
当事務所では、家族に内緒で任意整理をしたい方のためには、ご希望があれば、
- 和解書などの郵便物の送付について、事務所名を書かない封筒で送る(送り元を個人名にする)
- 郵送をしないで取りに来ていただく
- 局留めで送る
など郵便物に関する配慮をさせて頂いております。
また、電話についても固定電話にかけてほしくないという場合は、携帯電話にかけるようにしております。携帯電話も聞かれたくないので電子メールでのやり取りを希望、という場合も、できるだけ要望に応えるようにしています。
*ただし、電話やメールでの連絡が取れなくなった場合には、通常の郵送をさせて頂く場合があります。
このように、ご家族に秘密で任意整理をしたいという御要望には、できるだけ配慮させていただいております。