任意整理は5年分割での支払いが難しい場合でも可能か?

1, 任意整理の仕組み

任意整理では、弁護士が代理人として債権者(カード会社等)と交渉して、返済の条件を変更します。ここで、和解後の利息はゼロとして分割で返済する内容とするのが原則です。例えば、ある業者に100万円の債務があった場合に、利息は付けずに、2万円を50回で返済する、というような和解をするわけです。

2, 任意整理のメリット

任意整理には

  • 今後の利息がなくなる
  • 月々の返済額を交渉で決めることができる

というメリットがあります。また、以前にグレーゾーン金利での取引があった場合は、原本を減額できたり、過払い金を回収できる可能性があります。
これらにより、月々の返済額を減らして生活の再建を図ることができます。また、利息がなくなる分、和解内容に従って完済すれば支払う総額も通常より減ることとなります。

3, 任意整理の限界

任意整理は、債務整理の一類型ですが、破産のように債務を免除してもらったり、民事再生のように大幅に減額する手続きとは異なり、原則として元金等を分割で返していく必要があります。将来利息(和解後の利息)はゼロにするのが原則ですが、元金等の返済はしないといけないので、家計に返済する余力がなければ、うまくいきません。
ここで、原則として利息が付かないため、長期であるほど月々の支払いを少なくすることができ、余裕をもって返済できると考えられます。しかし、一方で、債権者であるカード会社や消費者金融会社等からみれば、あまり長い期間にせずに返済してほしいという考えがあります。それゆえ、返済期間はいくらでも長くできるわけではなく、おおよその目安があります。一般的には5年を上限とするカード会社等が多いですが、業者により、また、状況により、異なります。また、分割回数とは別に、月々の最低弁済額として、3000円、または、5000円、というような基準を作っている債権者も多いようです。
いずれにせよ、いくらでも長く、月々を少額に、というわけにはいかないので、そういう意味では、限界があると言わざるを得ません。
また、限界というわけではないですが、信用情報機関についていわゆるブラックの登録にはなるので、数年程度の間新たな借り入れができない、カードを作れない、などのデメリットはあります。

4, 5年分割での支払いが難しい場合でも任意整理はできるか?

上記のように5年を上回る長期での分割弁済は認めないというカード会社等も多いです。社内の決まりで一律にそのようにしている業者も多く、その場合は交渉でそれを上回る長期弁済を認めてもらうことは困難だと思われます。それゆえ、原則として、任意整理が可能かどうかは、5年での分割の場合に返済が可能かどうか、を一つの目安と考えるとよいでしょう。例えば、債務総額が300万円なら、5年60回分割だと月々5万円なので、それで支払えるかどうか、を目安とすることが考えられます。では、5年での返済が少々厳しい、例えば、上記の例でいえば、月々5万円は難しいが4万円なら支払える、という場合に、任意整理はできないのでしょうか?
実際のところ、5年が上限というカード会社等も多いですが、標準は5年だが場合により7年程度まで可能、というように柔軟な対応をしてくれるカード会社等もあります。稀にあまり事情を聴かずに長期分割に応じてくれる場合もありますが、多くの場合、長期分割が可能なカード会社等でも、任意整理で5年を上回る分割での支払いを希望すると、当該債務者の債務総額と債権者数、収入や支出の内容などの家計状況、などを聴いたうえで検討する、ということが多いです。すなわち、通常の5年では返済が厳しく家計状況を考えてそれがやむを得ないと考えられる場合は5年を超える分割での和解に応じるものの支出を減らすなど工夫次第で5年分割で支払うことができそうな場合には5年分割が上限、という対応の場合も多いです。ただ、上記の通り、そもそも5年を超える分割は不可、のカード会社等もあります。また、中にはより短い期間を上限として回答してくる場合もあり、必ず5年の分割が認められるというわけでもないです。
このように、任意整理の上限回数は5年が一つの目安であるものの、場合によってはそれより長期の分割ができたり、逆に5年より短い期間での返済が必要となる場合もあります。それゆえ、交渉してみないとはっきりしたことはいえないという不確実性はありますが、民事再生のように法律で決められた手続きではなく、あくまで交渉ですので、状況に左右される面があるのはやむを得ないところです。もっとも、当事務所ではこれまで数多くの任意整理案件を扱ってきており、債権者の傾向はある程度把握しています。それゆえ、ご相談の時点において、ご相談者様の状況をお聞きして、任意整理でうまくいく可能性をある程度判断して、場合によっては5年を超える分割弁済も視野にご依頼を受ける場合もあります。

5,まとめ

これまで当事務所においても、一部のカード会社や消費者金融会社とは7年~8年程度の長期での分割の和解ができたケースも多くありますが、債権者によっては5年を超える分割は不可のところもあり、また、同じ債権者でもこれまでの取引期間等により上限回数が異なったり(取引期間が短い場合は2年~3年程度での返済が上限、等)、業者の方針が変わって返済回数の上限が厳しくなる場合もあります(もちろん、和解済の場合に影響はありません)。
それゆえ、5年分割での返済が難しい場合に任意整理が可能かどうかは、ケースによると言えます。任意整理が難しい場合は、民事再生や自己破産など、他の方法も検討する必要がありますが、どの方法が解決のために望ましいかは、債務の状況、家計の状況、住宅などの資産の有無、などによって異なりますので、債務のことで悩んでおられる方は、まずは弁護士にご相談ください。当事務所では、債務整理(任意整理、民事再生、自己破産、時効援用等)のご相談は、相談だけなら無料です。また、ご依頼の場合の費用も、原則として分割が可能です。ご相談ご希望の方は、まずは、お電話か電子メールでお問い合わせの上、立川の事務所までご来訪ください。

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