民事再生における履行テストと再生委員報酬
1.民事再生における履行テストとは?
民事再生(小規模個人再生、給与所得者等再生)における履行テストとは、どういうものでしょうか? これは、裁判所に再生の申し立てをした人が再生計画案の履行を問題なくできるかを試すために行うことを求められる支払いのことであり、具体的には、再生計画案が認可されたら支払うことになる額を数か月間、再生委員に支払います。
ただし、再生委員が付かない案件で履行テストを行う場合は、申立代理人弁護士の預かり金口座に支払うという方法がとられることもあります。
また、支払額は再生計画案認可後に月々債権者に支払うであろう額(数百円単位は切り上げることもあります)とされますが、申し立て時点ではまだ正確にわからないため、申立て時点で予想される額を元に定められます。例えば、計画弁済額が100万円、期間を3年とする再生計画案を提出する予定の場合、履行テストの額は36回分割の場合の2万7778円を基本に、ちょうどこの額、または、2万8000円、等に定められることが多いです。もし、300万円を5年間で返済する再生計画案を予定しているなら、月々5万円ということになります。履行テストの期間は6か月とされることもあれば、開始決定直後から再生計画案認可まで、ということで7回~8回程度になることもあります。
履行テストは履行可能性を判断するうえで非常に重視されているので、支払いを遅れないようにする必要があります。
2.再生委員報酬
再生委員の報酬も申立人が支払う必要がありますが、通常、履行テストにより支払った額を充当します。ただ、再生委員報酬は基本的に15万円とされるので、余剰分は返してくれます。例えば、履行テストとして5万円を7回支払った場合は、35万円から15万円を差し引いて20万円は返してもらえる、ということになります。
もっとも、再生委員の報酬は各案件ごとに裁判所が決めることにはなっていますが、東京地裁ではほとんどのケースで15万円とされているようです。また、再生委員からの返金は認可決定後に行われるのが一般的です。
なお、申立代理人に口座に振り込み方法で履行テストが行われた場合、特に追加費用は発生しないので、認可決定後にそのまま返金させていただくことになります。(弁護士費用や実費の未払い分がある場合に充当させていただくことはあります)
3.まとめ
このように再生委員費用の支払いは履行テストにより行うのが原則なので、申し立て前に用意しておく必要はありません。また、履行テストは再生計画案の履行可能性を判断するうえで重視されるものであり、支払いが遅れたりすると履行可能性がないものとして認可がされずに終わってしまう恐れもあります。履行テストについては、遅れないように、確実に支払いをしていく必要があります。
なお、履行テストのみで履行可能性を判断しているわけではなく、家計の収支なども参考にしていると思われるので、再生を申し立てた場合、浪費やギャンブルなどをせず、つつましく生活することが認可のためには重要であると考えられます。
その他、履行テストや民事再生手続き中の注意点については、再生案件を依頼している弁護士によくご相談ください。
当事務所でも多くの再生案件を扱ってきました。民事再生を考えておられる方は、ぜひ、当事務所にご相談ください。ご相談ご希望の方は、お電話または電子メールでご予約の上、立川の事務所までご来訪頂ければ、と思います。当事務所は民事再生など債務整理の相談は、相談だけなら無料ですので、まずはご相談ください。