管財事件になった場合の流れ
1.管財事件とは?
破産手続きにおいて管財人が選任される場合を管財事件といいます。これと対比されるのが同時廃止で、同時廃止の場合は管財人は選任されません。
法人の場合はほとんどすべての場合に管財事件となりますが、個人の場合は管財事件になる場合もあれば、同時廃止の場合もあります。個人の破産で管財事件となるのは、個人事業主であった場合、換価すべき資産がある場合、免責調査が必要な場合、等が挙げられます。
2.管財事件になった場合にまず行われること
管財事件になった場合、まず破産者と管財人の面談が行われます。開始決定の直前に行うこととなっている裁判所もあるようですが、立川支部の場合は多くの場合開始決定後に行われます。弁護士が申立代理人として就いている場合は、通常、代理人弁護士も同席します。多くの場合、管財人の事務所で行われますが、代理人弁護士の事務所を使ったり、webで行う場合もあります。
この面談(打合せ)では、破産に至った理由や、現在の生活状況、等について聞かれます。また、銀行の通帳やその他の書類に不明点がある場合も質問がされます。その他、書類の追加提出を求められることも多いです。よくあるのは、債権者集会前月まで毎月家計一覧を作成して提出するように指示されることです。
また、持ち家がある場合はその処分についての打ち合わせもされることが多いです。例えば、もう退去しているのか、まだの場合はいつできるか、などです。その他、共有の場合に共有持ち分を家族に買ってもらうことで事実上家を残したい場合は、面談時に管財人に話すとよいでしょう(ただ、確実に希望通りに処理してくれるわけではないです)。
法人の破産の場合は、未回収の売掛金の回収、財産の換価や処分、賃貸物件の退去と原状回復、従業員への対応、など様々な事項について打ち合わせが行われるので、少し長めに時間がかかることが多いです。
管財人面談は通常1回だけですが、その後も管財人から破産者宛に連絡が来ることはあるので、必ず、対応するようにしましょう。法人の場合は、後日管財人と破産者代表者のみで再度打ち合わせが行われることもあるようです。また法人の場合は社屋や工場等の物件からの退去の関係で管財人と破産者代表者が再度現地で打ち合わせを行うことが多いです。
なお、管財人の調査に協力しないと免責が許可されない恐れもあり、必ず協力する必要があります。
3.債権者集会
開始決定から2か月~3か月程度後に裁判所で債権者集会が行われます。破産者は必ず出席しないといけません(病気などやむを得ない事情がある場合は事前に代理人弁護士を通じて管財人、裁判所に相談する必要があります)。正当な理由なく欠席すると免責が不許可になる恐れがあります。
債権者集会という名の通り債権者が出席することもありますが、個人の破産の場合、金融機関やカード会社等の従業員が出席することはあまりないです。法人の破産の場合は債権者である銀行や信用金庫の担当者が出席することはあります。
債権者集会の流れとしては、管財人が裁判官に調査の内容を報告し、債権者が出席している場合は裁判所は債権者に質問がないか、聞きます。その後、破産者ないし代理人にも意見を求めます。
この後の流れが、分配する財産がある場合とない場合で変わります。すなわち、分配する財産がない場合は「異時廃止」といって、手続きは終了します。「同時廃止」は破産手続き開始と同時に手続きが廃止(終了)となりますが、「異時廃止」は開始とは別の時に廃止(終了)されるため、異時廃止といいます。
一方、分配する財産がある場合は、配当手続きに移ります。配当手続きも種類がありますが、いずれにせよ、日を改めて行われます。
なお、債権者集会は1回で終わるとは限りません。財産の処分(換価)や、免責の調査に時間がかかる場合は、2回以上行われる場合もあります。複数回行われるときは、2か月~3か月程度間隔をあけることが多いですが、これも進行の都合に寄るので、まちまちです。
4.免責審尋
個人の破産の場合、通常、債権者集会に引き続いて(複数回開かれる場合は最後の債権者集会の日に)、免責審尋が行われます。免責審尋は、免責許可をするかどうかの判断のために、裁判官が破産者に質問をする手続きを言います。ただし、この尋問だけで許可の可否が決まるわけではありません。
東京地裁立川支部では、免責審尋の時間は数分~10分程度のことが多いですが、裁判所により、また、事案により異なるので、一概には言えません。
免責決定では、1,ここに至った経緯 2,債権者に迷惑をかけることをどう思うか 3,現在の生活状況や今後の生活再建のめど
を中心に質問されることが多いです。
ただ、裁判所によっては「申立て後に何か事情が変わった点がありましたか?」というような簡単な質問だけで終わるところもあります。
なお、法人は破産手続き終結により消滅するため免責という概念はありません。それゆえ法人の破産については免責審尋は行われません。
5.免責決定
個人の破産については、通常、免責審尋から1週間ないし10日程度で免責決定が届きます。ただ、この期間は一定ではないです。また、理論的には、不許可の決定が届く可能性もあります。ただ、現在の運用では、不許可になるケースは稀で、当事務所でもこの記事作成の時点までに、不許可に終わったケースはないです。
免責決定をもって基本的に手続きは終わりです。ただ、この後、特に問題がなければ、官報掲載を経て2週間で復権となります。復権により、職業や資格の制限が解除されます。
6.破産手続きのご相談はぜひ弁護士へ
弁護士は自己破産手続きにおいて代理人として業務を行うことができます。弁護士は代理人として申立書の作成を行い、申し立て後も管財人面談に同席し、また、債権者集会・免責審尋にも代理人として破産者とともに出席します。同時に、手続きの各時点において、必要なアドバイスを行うことで破産者が不安を解消し、同時に手続きの趣旨に従って生活を改善していく手助けをすることができます。
自己破産をするかどうか悩んでおられる方は、ぜひご相談ください。当事務所は平成21年(2009年)の事務所開設以来、多くの破産案件を扱ってきました。当事務所では、破産など債務に関する相談は相談だけなら無料ですので、まずはご相談ください。
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