保佐人制度について

☆被保佐人について

被保佐人とは、精神上の障害により事理を判断する能力を著しく欠いており、家庭裁判所により保佐開始の審判を受けた者のことです。つまり、後見を必要とするまではないが、本人が財産の処分を自由に行うことが社会福祉上好ましくないため、一定の制限を加えられた者のことです。

☆保佐人の同意を要する財産上の行為

民法第13条には、被保佐人が以下の財産上の行為を行う際には保佐人の同意を要することが規定されています。

1.元本を領収し、又は利用すること。
2.借財又は保証をすること。
3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
4.訴訟行為をすること。
5.贈与和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成15年法律第138号)第2条第1項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
6.相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
7.贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
8.新築、改築、増築又は大修繕をすること。
9.第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

民法13条に規定されている財産上の行為以外にも、被保佐人または保佐人もしくは保佐監督人の請求により、家庭裁判所は必要に応じて保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることはできます。(但し、日用品の購入などの日常生活に関する行為は除きます。)

☆保佐人ができること

被保佐人が一定の重要な法律行為を行う際に、その内容が被保佐人に害を及ぼすものでないかを調査し、同意をします。被保佐人が保佐人の同意または許可を得なければならないにも関わらず、保佐人の同意または許可なしに行った財産処分行為を、保佐人は取り消すことができます。
また、保佐人は裁判所で認められれば特定の法律行為について、被保佐人を代理して契約を締結することもできます。このように、保佐人は一定の要件のもと、同意権、取消権、与えられた代理権を行使しながら、被保佐人の生活及び財産に関する事務を行います。

☆保佐人の義務

保佐人は、保佐人の事務を行ううえで、被保佐人の心身の状態及び生活環境に配慮し、被保佐人の意志を最大限尊重する必要があります。また、裁判所から保佐人事務に関する報告を求められた場合は、誠実に報告に応じる義務があります。保佐人は必要に応じて、家庭裁判所や家庭裁判所により選任された保佐人監督人の監督を受けることとなるため、日頃より自身の保佐人として行った職務を記録しておくなどし、迅速に裁判所や保佐監督人へ報告ができるようにしておく義務があります。

☆保佐人になれる人

後見人と同様、被保佐人の親族のほか、被保佐人及びそのご家族の希望、被保佐人にどのような保護が必要かを考慮して、弁護士、司法書士といった専門家が家庭裁判所により選任されることもあります。

参考条文
第11条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人後見監督人補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。

第13条
1項 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
元本を領収し、又は利用すること。
①借財又は保証をすること。
②不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
③訴訟行為をすること。
贈与和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成15年法律第138号)第2条第1項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
①借財又は保証をすること。
⑥贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
⑦新築、改築、増築又は大修繕をすること。
第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2項 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3項 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4項 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

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