管財人に郵便物が転送されるのはなぜですか?
破産手続きにおいて、管財事件だと、開始決定から債権者集会までの間郵便物の転送が行われます。これは、破産者宛の郵便物が郵便局から管財人に届けられるという形で行われます。この措置は破産法81条1項に基づくもので、条文上は「破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるとき」に裁判所が郵便事業者等に嘱託して行うことになっていて、裁判所の裁量によると読めますが、実際には管財事件の場合郵便物の転送は通常行われる措置となっており、実務上この手続きを行なわないということは考えにくいです。
この制度の目的は、債権者や資産について申立書に間違いがないかを確認するためだと考えられます。すなわち、例えば、債権者が漏れていたら請求書で気が付く、資産の記載が抜けていたら固定資産税の請求書で気が付く、というような形で債務や資産について新たな情報が明らかになる可能性を考えて、このような制度が定められていると考えられます。
管財事件の場合にはこのような形で通信の秘密が制約されることとなりますが、管財人は守秘義務を負っていますので、見た内容を第三者に話すことはないし、破産手続きと関係のないプライベートなことにはかかわらないので、ご安心ください。なお、転送された郵便物は別便で破産者に送り届けられるか、破産者が管財人事務所に取りに行く、ことになります。