過払い金は今からでも請求できますか?
過払い金について、「今からでは遅いのでは?」という疑問をお持ちの方もおられるかもしれません。しかし、実際には、現在でも、一定の要件を満たせば、過払い金返還請求は可能です。その要件とは、
- 適法利率で計算しなおすと、過払い金が発生していること
- 時効になっていないこと(改正前民法適用案件の場合、原則は、完済から10年)
- 業者が法的整理を行なっていないこと
これらの要件を満たせば、原則として、過払い金返還請求が可能です(その他、私的和解等、細かい論点はありますが)。
*なお、民法改正の影響については「民法改正が過払い金の消滅時効に与える影響」をご覧ください。まず、過払い金の返還請求を行うためには、当然、計算上過払い金が発生していることが必要です。これは、取引履歴を取り寄せて利息制限法に基づく適法利率で計算しなおすことでわかります。これを、「引き直し計算」といいます。利息制限法の上限利率は、元金が10万円未満の場合には年率20%、元金が10万以上100万円未満の時には18%、元金が100万円以上の時には15%、となっています。これ以上の利率で取引していた時期がある場合は、過払い金が発生している可能性があります。(利率を覚えていなくても、弁護士が記録を取り寄せて過払い金の有無を調査することが可能です。また、過払い回収を依頼いただいた場合、通常、依頼を受けた法律事務所で履歴の取り寄せと引き直し計算をしますのでご自身での取り寄せは不要です)
また、過払い金が発生していても、時効になっていると実質的に返還請求できません。改正前民法によると、時効完成までの期間は10年となっており、原則としては、完済時点から数えます。ただし、途中での完済がある場合は、契約の切り替えの有無、空白期間の長さ、などいくつかの要件により、前後が別々の取引とされる場合もあるため、要注意です。空白はなくても無担保ローンから不動産担保ローンに切り替えた場合などには分断計算とされる場合もあります。その他、個別進行の主張がなされる場合もあり、時効の問題を考えれば、できるだけ早くご相談いただきたいと思います。 *令和2年(2020年)4月に施行された改正民法適用の場合は過払い金の返還請求ができることを知ってから5年という「主観的起算点」も同時に適用されるので注意が必要です
また、過払い金返還請求をしようとしている相手である消費者金融やクレジット会社が法的整理(破産や会社更生等。いわゆる倒産)に入っていると、手続きの段階にもよりますが、請求できなかったり、わずかしか戻ってこないことになります。なお、正式に倒産していなくても、経営状況ゆえに返還請求が難しい場合もあります。
一方、アコム、プロミス、レイク(新生フィナンシャル)、アイフル、などの大手消費者金融、ニコス、オリコ、エポス(元の丸井)、セディナ(現在SMBCファイナンスサービス。旧OMC、セントラルファイナンス、クオーク)、クレディセゾン、ニッセンGE、などの大手カード会社は、2024年(令和6年)7月時点でも、計算上過払いが発生していて、時効になっていない場合は、原則として、返還請求が可能です。なお、業者により、時間がかかる傾向があったり満額は難しいところもありますが、いずれにせよ、2024年時点でも過払い金返還請求は、時効の場合等を除けば、可能なので、ぜひ、早めにご相談ください。