自由財産とは何ですか?

自由財産を簡単に言うと、破産手続き開始決定時にあった財産のうち、手元に残せる財産のことです。すなわち、破産手続きを行うと開始決定時に手元にあった財産は原則として換価され、配当の原資とされます。しかし、破産者の生活再建の観点から、一定範囲内の財産は手元に残せることになっています。それが自由財産です。

自由財産の範囲は裁判所により若干異なりますが、東京地裁では、原則として、20万円未満の預貯金、99万円以下の現金、20万円未満の解約返戻金の保険、20万円未満の自動車、などが自由財産として扱われます。また、身の回りの品(衣服、家電製品、家具、など)はどこの裁判所でも基本的に自由財産として扱われていると思われます。

また、さいたま地裁では、預貯金、現金、など各種資産を合計して99万円までは自由財産とする扱いが一般的ですが(ただし、自由財産拡張申立書を提出する必要はあります)、財産の種類によっては自由財産とされないものもあるので注意が必要です。

ここで注意が必要なのは、破産手続き開始決定時を基準とするということです。裁判所によっては自己破産の申し立てをしても開始決定まで1か月程度かかることもありますが、その場合も、原則として申立て時ではなく開始決定時の額で判断されます。

(東京地裁本庁では基本的に開始決定まで数日程度なので、その期間中の資産の増減が問題になるケースは少ないと思われますが、裁判所によってはより長い時間がかかることもあり、その間に資産の大幅な増減があることも珍しくありません)

また、あくまで裁判所の手続きにおいて換価対象になるかどうかという問題であり、担保の付いている自動車の場合、基本的に、弁護士介入後、裁判所への申し立て前に(申立て後になる場合も稀にありますが)担保権の実行として引き上げられます。その他の動産でも、担保が付いている場合は同様に破産手続きとは別に引き上げがなされる可能性があるので、要注意です。

このように、自由財産は、破産者の生活再建の観点から認められているものであり、財産の換価と配当を原則とする破産手続きにおける例外と言えます。この例外があるからこそ、手続き後の当面の生活に若干の余裕を持つことができるのであり、重要な意味があると思います。なお、通常の自由財産の範囲内だけでは今後の生活再建に支障があると考えられる場合には自由財産拡張の申立てを行うことで、自由財産の範囲を広げることが認められる場合があります。この扱いも裁判所により基準等が異なる場合があります。

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