任意整理においては、多くの場合、費用は分割で頂くことになります。では、毎月いくら支払えばよいのでしょうか?
1、任意整理の場合の費用の支払い方法の基礎知識
任意整理の費用は分割で大丈夫です。そうはいってもカード会社や消費者金融に支払ながら弁護士費用を支払うことは難しいと思われるかもしれません。
その点は、ご安心ください。弁護士にご依頼頂くと、債権者への支払いはいったん止めることができます。すなわち、これまで毎月カード会社や消費者金融、銀行などに支払っていたものを数か月程度止めていただいて、その間に弁護士費用を分割でお支払いいただくわけです。
弁護士が受任通知(介入通知とも言います)を送ってあるので、債権者は本人には連絡しません。これは貸金業法という法律で弁護士介入後に貸金業者が本人に連絡することを禁止されているからです。
2、月々の費用の支払額の決め方
費用は分割で良いとしても、毎月いくら支払えばよいのでしょうか? これは、一律の決まりはありません。ご依頼者様と弁護士の協議で決めることになります。
では、どのようにして決めるのでしょうか? これには、一般的な決め方があります。それは、「いずれ業者に対して支払うことになるであろう額と同じにする」ということです。例えば、債務の総額が300万円だったとします。任意整理は一般的には5年での分割払いとすることが多いですから、債務総額300万円であれば毎月5万円の返済が標準的なところです。そうすると、債務総額300万円の場合に任意整理を行うためには毎月5万円を支払い程度の家計の余裕はないと、任意整理は難しいということになります。そこで、本当に毎月5万円を支払えるかやってみるという意味で、弁護士費用の分割も毎月5万円にするわけです。弁護士費用の分割支払いをしている間は原則として業者への支払いは始まらないので、弁護士費用5万円+業者への支払い5万円で10万円、というわけではなく、まず数か月間弁護士費用として月々5万円を支払い、それが終わってから業者(カード会社など)へ毎月5万円を支払う、ということです。
この、5万円、というのは一例ですし、別のところで述べた通り、必ずしも60回が上限というわけではありません。ただ、「このケースではおそらく和解後に業者に対して毎月いくら支払うことになるだろう」というのはご相談の段階でおおよそ予測できるので、基本的に、それに基づいて弁護士費用の分割支払い額を決めさせていただくことになります。
なお、この方法で決めて、時間がかかりすぎる場合は、もう少し多めの額での支払いをお願いする場合もありますが、いずれにせよ、その金額は委任契約書で決定させて頂きます。また、生活再建のための手続きなので、分割支払い額が過大になって家計に過度の負担を与えることがないように、金額及び支払い開始時期については配慮をさせていただいています。あまり少なすぎると和解交渉を進めるまで時間がかかってしまい、債権者に迷惑をかけてしまうので、限界はありますが、できるだけ柔軟に対応させて頂いています。
3、費用支払いにかかる期間
費用の分割支払いは基本的に上記のような方法で決めますが、では、費用の分割支払いにかかる期間はどれくらいでしょうか?
通常は数か月程度です。あまり時間をかけると、債権者から訴訟をされるリスクが高まるので、望ましくないといえます。
具体的には、ご相談の際に、弁護士と相談の上、決定することになります。