悪意の推定を覆すためには18条書面に返済日等の確定的な記載が必要とした判例
平成23年12月1日の最高裁判例は、「リボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は,平成17年判決の言渡し日以前であっても,当該貸金業者が制限超過部分の受領につき貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有することに平成19年判決の判示する特段の事情があるということはできず,当該貸金業者は,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。」としました。
つまり、業者が17条書面に、確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をしていない限り、悪意の推定は覆らないとするものです。
そういう意味では、過払い請求者側に有利にも思えます。
ただし、逆にいえば、上記要件を満たすことで悪意の推定が覆る可能性があることが明確にされているともいえ、今後、「どの時期に過払いになったのか」などの状況をよく確認しないと、過払い金に対する利息については判断が難しい場合もあるともいえます。
もっとも、17条書面、18条書面をしっかり保管していない業者については、立証責任を考えると、あまり心配する必要はないとも思えます。
(また、あくまで、過払い金に利息を付けるかどうかという話であり、過払い金元本の返還には影響はありませんので、その点はご安心ください)