悪意の推定を覆す余地を認めた判例
貸金業者が過払い金に当たる部分を受け取っていた時、原則として悪意の受益者と推定されます。しかし、自動的に悪意とみなされるわけではありません。「推定」と「みなす」は異なるのです。
この点について、平成21年7月14日、最高裁判所は、以下のような判断を下しました。
すなわち、最高裁は、「期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を初めて否定した最高裁平成16年(受)第1518号同18年1月13日第二小法廷判決・民集60巻1号1頁の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することはできない。」と判示しました(平成20(受)1729 )。
この判決は、平成19年7月13日判決との関係をどう考えるかという問題があります。
実際のところ、要件を満たす17条18条書面が交付されていなければ、悪意推定は覆らないので(ただし、貸金業者は「当時としてはこれでも満たしていると思ったし、それもやむを得なかった」というような主張はしてきます)、これ以後、悪意推定について17条、18条書面の交付が問題になるようになりました。