貸金業者は原則悪意の受益者であるとした判例
貸金業者が過払い金を返さないといけないとしても、悪意の受益者、つまり、最初から過払いに当たる部分は受け取ってはいけないと知って受け取った場合と、そうではない場合では、かなり違いが生じます。
つまり、悪意の受益者なら、過払い金に年5%の利息を付けて返さないといけないため、請求者側から見ればかなり額が増えて望ましいことになります。
それゆえ、過払い請求について、みなし弁済が原則認められないことが明らかにされた(平成18年1月13日判例)以後は、悪意の受益者かどうかが争われるようになりました。
この点について、平成19年7月13日、最高裁判所は、以下のような判断を下しました。
すなわち、最高裁は、「貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである」と判示しました(平成17(受)1970)。
すなわち、貸金業者は自らが悪意の受益者でないことを立証しない限り、悪意の受益者とされ、過払い金に年5%の利息を付して返還しないといけないことになったわけです。