亡くなった方の過払い金を家族が請求することはできるか?
過払い金が発生する可能性がある場合
過払い金が発生する可能性があるのは、消費者金融やカード会社等のキャッシングの取引の場合です。ショッピングの場合は発生しません。また、2010年6月の法改正より前から取引をしていた場合に限ります。大手の消費者金融やカード会社の場合は2007年頃に新規契約については適法利率に下げている場合が多いので、それらの業者の場合は、その時期より前からの取引の場合に可能性があるということになります。
したがって、亡くなった方がそれくらい以前からキャッシングの取引をされていたかもしれない、という場合は、弁護士に頼んで調査してもらう意味はあると思います。アコム、プロミス、アイフル、といった消費者金融の場合の他、オリコ(オリエントコーポレーション)、ニコス(旧日本信販)、クレディセゾン、セディナ(OMCなど)、アプラス、エポス(丸井)、などのカード会社の場合も過払い金が発生している場合があります。
なお、時効は10年(改正前の法適用のケース。基本的に2020年3月までの完済の場合)ですが、基本的に最終取引日から数えるので、原則として、最終取引から10年経っていなければ請求できます。
*法改正後に完済している場合は、制度が少し複雑になりますが、簡単にいうと、過払い金があることを知ってから5年か完済から10年の早い方になるということになります。複雑な話なので、まずはご相談ください。いずれにせよ、現時点(2023年1月)では問題になりうるのは改正前の民法による時効なので、現時点で請求するなら改正法は考えなくて大丈夫です。
過払い金は相続対象になるか?
過払い金は、業者に対する「不当利得返還請求権」という権利です。権利の性質としては債権となります。債権ですので、相続の対象となります。つまり、不動産、預貯金、自動車、などと同様に、相続の対象になるわけです。
したがって、相続人である家族は過払い金の返還を請求できるということになります。また、可分債権といって、分けることができる債権なので、下記のように、相続人が複数の時、法定相続分に相当する分だけ、各相続人が単独で請求することもできます。
誰が相続できるか?
過払い金は、誰が相続できるのでしょうか? これは、遺言がない場合、民法で定められた相続人が相続することになります。民法では、
- 亡くなった方に子がいるときは子が相続する。
- 亡くなった方に子がいない場合は親や祖父母が相続する。
- 1.2.ともいない場合は、兄弟姉妹が相続する。
ということが定められています。ただし、1について、子が亡くなっていても孫がいれば、孫が相続します。3については、兄弟姉妹が亡くなっていた場合、その子が相続します。また、配偶者は相続人になりますが、1,2,3いずれのケースであるかで法定相続分(相続できる比率)が変わります。
また、1の場合、子が複数いれば、子らで均等に割ることになります。3も原則同じですが、異母兄弟は1/2となります。
過払い金の請求方法
では、相続人は、どのようにして過払い金を請求すればよいでしょうか?
1.相続人が1名だけの場合
例えば、亡くなった方の配偶者はもう亡くなっていて、子が1名だけ、の場合です。この場合は、唯一の相続人は、過払い金返還請求権を全部相続しますので、そのまま業者(消費者金融やカード会社)に請求すればよいこととなります。
相続人であることを示すために戸籍謄本(全部事項証明書)等は必要となりますが、弁護士に依頼すれば、それらの取得も任せることができます。
2.相続人が複数いる場合
1.過払い金の全額をそのうち1名が請求したい場合
例えば、亡くなった方に配偶者と子が2名いる場合に、配偶者が過払い金の全部を請求したいという場合は、これら3名の相続人全員の合意が必要です。合意を示す遺産分割協議書を作成し、相続人全員が実印で押印、印鑑証明書も添付することが必要となります。
そのうえで、相続人が他にいないことがわかる戸籍謄本等を用意し、過払い金を請求することになります。
弁護士に依頼すれば、戸籍謄本等は取り寄せてもらえるし、遺産分割協議書の書式は作成しますが、押印は各相続人が自ら行う必要があり、印鑑証明の取得も各自にお願いすることとなります。従って、全員の合意を得られるかが重要になってきます。
2.過払い金のうち法定相続分に相当する金額だけでよい場合
例えば、亡くなった方に配偶者と子が2名いる場合に、配偶者が自分の法定相続分だけ請求したいという場合は、他の相続人の同意は必要ありません。戸籍謄本等を用意して自分の法定相続分を証明できれば、それで請求できます。もちろん、この場合も戸籍謄本等の取り寄せを弁護士に依頼することができます。
このケースだと、配偶者の法定相続分は2分の1ですから、過払い金が100万円あれば、50万円だけ返還請求できることになります。残りは2名の子らがそれぞれ25万円ずつ請求するか、あるいは、子らで話し合えば片方が50万円を受け取りもう片方の子は受け取らない、などの方法もとることができます。いずれにせよ、自身の法定相続分に相当する分だけ受け取るなら、他の相続人の同意は必要ないわけです。
弁護士に依頼することが望ましい理由
相続人が過払い金を請求する場合、弁護士に依頼することが望ましいと思います。なぜなら、通常の過払い金返還請求でも弁護士に依頼することには、ご本人様が業者と直接やり取りしなくてよくなる、弁護士なら専門的観点から交渉できるので充分な金額での返還が期待できる、などメリットがありますが、それに加えて、戸籍謄本(全部事項証明書)等の収集や場合によっては遺産分割協議書案の作成など、必要な作業を弁護士に依頼することができるからです。
当事務所では、相続の案件を含め、多くの過払い金返還請求事案を扱ってきました。過払い金が気になる方は、まずはご相談ください。相談だけなら無料です。また、完済後の過払い金返還請求は、戻ってきた過払い金の中から弁護士報酬を頂くので、弁護士報酬で損をする(持ち出しになる)ことはございません。調査をしてみて過払い金がなければ費用は発生しませんので、まずはお問い合わせください。
ご相談ご希望の場合は、お電話か電子メールでご予約の上、立川の当事務所へのご来訪をお願いします。