今からでも過払い金は請求できるか?
1, 過払い金とは?
過払い金は、消費者金融やカード会社に払いすぎた利子のことを言います。なぜそのようなことが起きうるのかというと、以前、グレーゾーン金利というものが存在しました。利息制限法の上限は超えるが罰則はない利率というものが存在し、その範囲の利率で利息を受け取っていた消費者金融やカード会社が多くありました。しかし、平成18年1月に最高裁で、グレーゾーン金利での利率を受け取る根拠となっていた「みなし弁済」は認められず受け取りすぎた利息は返還しないといけないという趣旨の判決が出て、過払い金の返還請求ができることが明らかになったのです。
具体的には、以下の利率を超える場合は、払いすぎた利子として返還請求の対象となります。ただし、元本が残っている場合は払いすぎた利子の分はまず元本に充当したとして計算するので、元本が減るだけの結果に終わることもあります。一方、完済している場合は、払いすぎた利子の分はそのまま過払い金返還請求の対象となるわけです。
元本 | 適法利率の上限 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
2, 過払い金請求の流れ
過払い金の返還請求を弁護士に依頼した場合、弁護士は消費者金融やカード会社に通知を送り取引履歴を取り寄せます。その取引履歴に記載されている借り入れや返済の金額、日付をパソコンを用いて専用の計算式に入力すると、過払い金の額を計算できます。
上記のようにして算出された過払い金額を相手方である消費者金融やカード会社に請求するわけです。相手方が十分な額で請求に応じればそれにより和解しますが、一方、相手方が返還を渋った場合や十分な金額を提示してこない場合は、訴訟に進める場合もあります。
3, 過払い金の金額はどれくらいか?
過払い金があった場合、金額はどれくらいでしょうか? 実は、これは取引履歴を取り寄せて計算してみないとわかりません。数万円程度のこともあれば、数十万円、あるいは100万円以上の場合もあります。いずれにせよ、取引履歴を取り寄せてパソコンのソフトに入力しないとわかりませんが、弁護士にご依頼いただいた場合、取引履歴の取り寄せと過払い金の額を計算する作業は事務所側で行うので、ご安心ください。
4, 過払い金は今からでも請求できるか?
過払い金というものの存在が広く知られるようになって以来、多くの方が過払い金の請求をしてきました。では、今からでも請求できるでしょうか?
まず、過払い金が発生しているのはかなり古い時期からの取引である必要があることに注意が必要です。すなわち、2010年6月の法改正以後はグレーゾーン金利が廃止されているため、それ以前からの取引である必要があります。特に、大手消費者金融やカード会社の多くは2007年頃には利息制限法の上限以下に利率を下げているので、大手の貸金業者に関してはその時期以後の取引開始の場合は基本的に期待できません。
また、過払い金はキャッシング(お金を借りること)の場合にしか発生しません。さらに、銀行や信用金庫の場合はまず発生しません。一方、消費者金融のみならず、カード会社でも発生していることが珍しくないです。すなわち、アコム、プロミス、アイフル、などの消費者金融以外に、オリコ(オリエントコーポレーション)、ニコス(旧日本信販)、クレディセゾン、セディナ(旧OMC,セントラルファイナンス、クオーク。現SMBCファイナンスサービス)、ニッセンクレジット、イオンクレジット、などのカード会社でも過払い金が発生している場合があります。
では、今から請求できるか、となると、時効になっていなければ基本的に請求できます。改正前の民法に基づく場合は最終取引日から10年が経過していない場合は基本的に事項ではないのですが、ただし、あくまで取引が一連のものとして計算できる場合です。途中でいったん完済していると状況次第では前後を別々の取引として計算せざるを得ないこともあり(分断計算)、その場合は途中完済の前の部分は時効ということもあるので要注意です。
また、2020年(令和2年)4月に施行された改正法では過払い金の返還を請求できることを知った日から5年の経過でも時効になると解されるので、注意が必要です。(どのような場合に知ったといえるのかという点が議論になりそうでが、今のところはっきりとは言えないです)ただし、民法改正には経過措置が定められており、改正前に発生した債権については改正前の民法が適用されることとなります。そうすると、改正前に完済している場合には旧法適用となることは間違いなく、また、法改正にまたがって発生している場合もおそらくは改正前に発生した部分は旧法適用となると思います。
その他、時効については、場合により個々の返済から期間を数えるべきというような主張が出てくることもあります。(1回払い取引の場合や、貸付停止があった場合等)
5, ご相談は早めをお勧めします
過払い金については、上記のように時効があります。途中でいったん完済していたり契約を切り替えていた場合には、分断計算となり、それ以前の分の過払い金を請求できなくなってしまうこともあり、そのような場合、途中完済の後の借り入れは適法利率で結局過払い金を全く返してもらえないというケースも珍しくないので、完済から10年ぎりぎりまで待つのではなく、できるだけ早めにご相談いただきたいと思います。
当事務所では、これまで多くの過払い金返還請求を扱ってきました。交渉も訴訟も豊富な経験があります。過払い金については、相談だけなら無料なので、まずはご相談ください。ご相談ご希望の方は、まずはお電話か電子メールでご予約の上、立川の事務所までご来訪をお願いします。平日は夜9時まで、日曜日は午後7時まで営業しておりますので、平日昼間に来られないという方も、ぜひご相談ください。