「借りた覚えがない業者から請求が来る」や、「聞いたこともない業者から請求が来る」場合があります。特に、かつて利用していたカード等の債務をを完済せずに放置していた場合にはそういうことが珍しくないようですが、この場合、無視してよいでしょうか? 実は、必ずしもそうとも言えません。
1、業者の名前が変わっている場合
消費者金融やクレジットカード会社の企業名が変わることは珍しくありません。例えば、ディック、アイク、ユニマット、は今は合併してCFJになっています。また、OMCやセントラルファイナンスは合併してセディナになり、さらに、最近、SMBCファイナンスサービス株式会社という名前になりました(プロミスがSMBCコンシューマーファイナンス、ですから、紛らわしいですね)。 このように社名が変わっても、同じ会社の場合や、統合されて一つの会社になっている場合があります。この場合は、同じ会社ですから、元の会社から借りていれば、当然、契約はそのまま残っています。したがって、契約内容に従った返済が必要です。
2、代位弁済が行われている場合
例えば、銀行のカードローンを使うと、たいていはカード会社か消費者金融が保証会社としてついています。すると、返済が滞ると、保証会社が代位弁済をします。もっとも、1回遅れただけで代位弁済をするか、ある程度期間が長引いたり金額が多くなった場合にだけ代位弁済をするかは、契約内容や債権者、保証会社の方針にもよりますが、いずれにせよ代位弁済が起きることはあります。そうすると、代位弁済した保証会社が求償権の行使としてもともとの債務者に請求してくるわけです。 例えば、みずほ銀行から借りていたはずだがオリコから請求が来た、三菱UFJ銀行から借りていたはずだがアコムから請求が来た、というような場合は、たいていは、このパターンだと考えられます。
3、債権譲渡が行われている場合
カード会社や消費者金融借りていたはずなのに「〇〇債権回収」というような会社から請求が来ている場合があります。これは、もともと借りていたカード会社や消費者金融会社が債権回収会社に債権譲渡をした結果、ということが考えられます。代位弁済との違いは、代位弁済では保証会社は本来の債務者の代わりに債権者に支払って、その額を債務者に請求しますが、債権譲渡では債権回収会社は債権をお金を払って債権者から買い取っているという点です。 この場合も、手続きに問題がなければ、債権回収会社が正当な債権者ということになります。ただ、債権が債権回収会社に譲渡されるまでには時間が経っていることも多いので、債権回収会社から請求が来たら時効になっていないかどうか、の確認がまず必要です。(弁護士は資料を取り寄せて調べることができます)
4、まとめ
聞いたことがない業者から請求が来たとしても、それが根拠のないものだとは限りません。特に、借り入れやカード利用の残高を完済せずに放置して時間が経っている場合は、上記2,3、のように別会社に債権が移ることは珍しくありません。もっとも、詐欺的な請求など、根拠がない場合もないわけではなく、また、正当な債権者からの請求でも時効になっている場合もあるので、どうすればよいかわからない場合、まずは弁護士にご相談ください。