受任により業者への支払いは止めて頂きます
弁護士に債務整理をご依頼いただくと、各債権者への支払いを止めることになります。まず、民事再生や自己破産の場合は全業者への支払いをすぐに止めなくてはなりません。また、任意整理でも、弁護士に依頼した業者については、支払いを止める必要があります。弁護士が受任していれば、支払いを止めても、カード会社や消費者金融会社などの業者からご本人様や勤め先に連絡が行くことはありません。債権者への支払いを止めることで月々の家計に余裕ができた分で弁護士費用をお支払いいただくことになります。基本的に、任意整理の場合でも業者への支払い再開は弁護士費用支払い後になるので、同じ月に両方に支払う必要は原則としてありません。
(ただし、早期の和解を求められた場合等に、一部並行になることがないわけではありませんが、そのような場合には弁護士費用の月々の支払いを少なめにするなどの調整が可能です)
弁護士費用の分割支払いの月額の決定方法について
弁護士費用の分割方法については、以下のような点を考慮した上で決める必要があります。
・本人が支払える月額であること
・積み立て完了までの期間が長くなりすぎないこと
・任意整理の場合、和解後に業者に支払うことになると予想される額を下回らないこと
などがおもな考慮要素です。
まず、生活再建のための手続きなので、ご依頼者様本人が支払える範囲内であることは条件になります。
ただ、積み立てまで時間がかかりすぎると、債権者が訴訟をしてくるなど問題もおきやすくなるし、任意整理なら和解までの利息を求められるリスクが高まったり、和解条件が厳しくなる、などの恐れもあります。
また、任意整理の場合は、いずれ業者へ月々いくら返済するかということを念頭に決める必要があります。そのためには、ご相談時の債務額を参考にします(特にグレーゾーン金利がない場合)。グレーゾーン金利での取引がなければ、任意整理をしても元本は変わりませんので、そうすると、一般的な業者の対応を考えると、現在の残高を目安に長くてもおおよそ60回くらいで返済できる計画を立てる必要があります(もう少し長期で大丈夫な場合もあります)。そうすると業者への返済の際には、月々、最低このくらいは弁済に必要、という数値がおおよそ出ます。
業者に支払うのは基本的には弁護士費用が終わった後ですが、弁護士費用を支払う段階でも、いずれ業者に支払いを開始することを念頭に、予想される業者への支払額と同じくらいの額にしておいて、いわば、支払いの練習をしておくという趣旨です。
例えば、債務総額が300万円なら、60回で割って、月5万円程度の支払いが可能なら、任意整理は無理なくできる可能性が高いです。そこで、そのような場合、月5万円を弁護士費用の支払額とさせていただくことが多いです。(あくまで、一例です。例えば、債務総額420万円なら、月7万円、が目安となります。また、グレーゾーン金利の関係で減額や過払いが期待できる場合は、月々の費用積み立てを上記目安より少ない額にすることもあります) その上で、支払いが問題なくできるなら任意整理で進められますし、支払いが難しそうな場合は、方針の再検討が必要です。
また、破産の場合は、申し立てまで時間がかかりすぎることは、その間の資産の管理等の問題も含めて、手続きとの関係で望ましくないと考えられます。
それゆえ、基本的には、数ヶ月程度で和解や裁判所への申し立てへ進めるように費用を決める必要があります。
破産の場合は、一般に、同時廃止で月3万円かそれ以上、管財事件なら月5万円かそれ以上の積み立てが望ましいですが、それ未満でも大丈夫な場合もあります。また、ボーナスを併用する方法も考えられます。(ただし、事情により、それより多い額での積み立てができないと難しい場合もあります。例えば、すでに訴訟で判決が出ていて給与差し押さえが迫っているような場合です)。
民事再生についてはケースにより弁護士費用自体がかなり異なるので、一般的な目安を示すことが難しいですが、ご相談の際にご説明します。(ただ、民事再生は再生計画案に従って減額した後の債務を3年~5年で返済する手続きなので、返済可能な原資があるかの確認の意味で、予想される月々の返済額未満だと好ましくないということはいえます)
もっとも、上記の、弁護士費用の積み立て方法の計算は目安です。実際には、ほかの要素も考慮して決める場合があります。弁護士費用の積み立て方法は、ご依頼の際に、弁護士と面談して決めて頂く形になります。なお、ご依頼当月または翌月の給料日の後を第1回として、満額になるまで、という支払い方法が多いですが、これもある程度は柔軟な対応ができる場合もあります。